奈良交通「巣山古墳・牧野古墳(広陵町)、平野塚穴山古墳・平野第1号墳(香芝市)」
令和3年4月20日(火)、奈良交通「香芝の古墳と馬見丘陵古墳群」に参加しました。案内役は「名物ガイド」(by岡下さん)の雑賀耕三郎さんです。雜賀さんは別の会社「やまとびとツアーズ」の古墳探訪ツアーも案内されています。非公開など社会的要因で入りにくい古墳に行くのが奈良交通、場所が分かりにくい・石室入口が狭いなど物理的要因では入りにくい古墳に行くのが
やまとびとツアーズ と使い分けておられるようです。
午前9時に近鉄奈良駅前をバスで出発して大阪府と隣接する香芝市に向かいます。
飛鳥時代の尼寺廃寺跡に寄った後、「平野塚穴山古墳」に向かいます。この古墳は明神山(奈良県王寺町)から東に延びる尾根の南斜面に七世紀後半に作られました。一辺21mの方墳で、凝灰岩の切石を組み合わせた全長4.47mの端正な口式石槨を持ちます。普段は扉が閉じられており、入ることができません。
次に、東に向かい、同じく普段は非公開の「平野第1号墳」に行きます。一辺が20m・高さ30mの方墳です。全長9.2mの横穴式石室を持ち、両袖式の玄室は全長3.5m・幅2.85m・高さ3.5mの両袖式です。巨石が積み上げられており、塚穴山古墳とは違って荒々しい印象を受けます。
昼食を済ませてから香芝市二上山博物館を見学し、その後、東に隣接する広陵町にある「牧野(ばくや)古墳」に向かいます。直径60m・高さ12mの三段築成の円墳で、二段目に全長17.1mと奈良県内最大級の大きな横穴式石室があります。真の崇俊天皇陵とされる赤坂天王三古墳(桜井市)と似ており、森下恵介先生は、同じ工人集団によるものとされています。
その後、4~5世紀に築かれた250基を超える大古墳群「馬見古墳群」に向かい、今回の目玉である「巣山(すやま)古墳」に入ります。
墳丘長22mと馬見古墳群の中で最大規模を持つ前方後円墳で、築造時期は四世紀後半~五世紀前半とされています。周囲を盾型の広い濠が囲み、その外には幅30mの堤が築かれています。通常は立ち入り禁止なのですが、特別に広陵町教育委員会の許可を得て入ることができました。
三段築成ですが、実際に歩いてみると三段目が特に高いことが実感できます。北を向いた前方部の頂上には大きな長方形壇が設けられており、後円部だけでなく前方部にも竪穴式石室があった名残か大きく窪んでいます。後円部に二つの竪穴式石室があっただけでなく、前方部にも竪穴式石室があったらしく窪んでいます。参加者の一人が、その窪みにシートを敷き仰向けに寝転んで雰囲気?を味わっていました。別の女性も喜んで体験しておられました。雜賀さんも勧められて体験されました。マニアックなツアーにはディープな客が集まるものです(笑)
時間に余裕があったので、馬見丘陵公園で咲き誇るチューリップ群も見ることができました。最後に、広陵町文化財保存センターに寄り、牧野古墳や巣山古墳から出土した埴輪などを見るとともに、学芸員の方からいろいろと教えていただきました。
参加者が17人と少なく、かつディープな古墳ファンが多かったため、和気藹々とした雰囲気のなか、充実した非公開の古墳探訪ツアーを楽しむことができました。
案内いただいた雜賀さん、奈良交通の藤原さん、そして事前準備に尽力いただいた藤山さん、ありがとうございました。