長浜市観光協会「貴重な資料館を訪ねる」(滋賀県長浜市)
令和4年3月20日(日)、滋賀県長浜市観光協会「貴重な資料館を訪ねる」に参加しました。訪問先は全て地域住民か個人の方が運営されています。
(1)「冷水寺胎内仏博物館(高月(たかつき)町)」
冷水寺は、戦国時代の戦乱で焼き払われ、本尊の十一面観音像は黒こげになりました。江戸時代、その姿を痛んだ地元民が鞘仏を作って胎内に納めました。
この事実は忘れ去られていたのですが、1996(平成8)年、観音堂修理に際して調査した結果、胎内から仏像が発見されました。
仏像は高月観音の里歴史民俗資料館に寄託されており、観音堂には鞘仏が祀られています。
関係する資料は、「世界一小さい資料館」がキャッチフレーズの胎内仏博物館に展示されています。
(2)「雨森芳洲庵(高月町)」
雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)は江戸時代の儒学者で、朝鮮通信使の接遇に関わり日韓友好に尽くしました。その活動を顕彰するため、1984(昭和59)年、生家跡に建てられた記念館です。
顕彰活動を精力的に展開しておられる前館長の平井茂彦さんから説明を聞きます。
通信使の行列などは、平井さんが紙粘土で作られたものです。
昼食は、地元の主婦の方々が古民家で運営されている「Bookcafeすくらむ(木之本町)」でいただきます。
(3)「本陣薬局ギャラリー(木之本町)」
北国街道に面しており、かつては大名の宿泊所である本陣でした。
明治時代に薬局となり、貴重な看板や調剤用具などが展示されています。
(4)「余呉茶わん祭の館(余呉(よご)町)」
丹生(にう)神社の大祭「茶碗祭」の曳山(ひきやま、飾り物を据えた山車)などが展示されています。
神社近くで採れる土から陶器を焼いて奉納したのが祭りの始まりだと伝えられています。
曳山の中心は、人形や陶器による高さ5~6mの飾り付けです。その工法は口伝による秘法で、限られた作り手しか知らされていないそうです。
(5)「葛籠尾崎湖底遺跡資料館(湖北町)」
葛籠尾崎(つづらおざき)は、奥琵琶湖上に大きく突き出た半島で、その東の沖合で発見された縄文時代~平安時代の土器類が展示されています。
この湖底遺跡には人が居住した痕跡が全く認められないことから祭祀場説などがありますが、結論は出ていません。
また、奈良時代の土器類が発見されていないのも謎です。
マニアックな資料館ばかりを訪問して、地域の歴史遺産の後生に伝えようとする方々の姿に感銘を受けた一日でした。