大阪市立美術館「聖徳太子」
令和3年9月25日(土)午前、大阪市立美術館で開催されている千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子」を観覧しました。近くにある四天王寺が主催者の一員ですから、会場としてはふさわしい場所です。
四天王寺は聖徳太子が創建したと言われています。伝承によれば、587年、崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏との間で戦いが行われました。14歳だった聖徳太子は、ヌルデの木に四天王を彫り、この戦いに勝ったら四天王を安置する寺院を創ると誓いました。この誓いに基づき上町大地に築かれたのが四天王寺です。
四天王寺の伽藍は南から、南門・中門・塔・金堂・講堂が並んでおり、「四天王寺式伽藍配置」と言われますが、本来は先に建立された「創建法隆寺式伽藍配置」と呼ばれるべきものです。
その後、何度も地震や火災に遭いましたが、その度に復興されました。今の五重塔は八代目で鉄筋コンクリート造りです。
こうしたことから、今回の展覧会に出展されている四天王寺所蔵の作品は、ポスターの表紙になっている「聖徳太子童形像・四臣像」など持ち出しやすい絵画や小さな仏像がほとんどです。
この結果、他の寺院から聖徳太子二歳像・童形像、如意輪観音像などが複数出陳されているのですが、一覧できるように工夫して展示されているので、違いを楽しむことができます。
また、河内三太子の一つ「野中寺(やちゅうじ)」(羽曳野市)からは、重文「弥勒菩薩半跏像」が出陳されていました。お寺だと間近に拝見できるのですが、ここではガラスケースに収められています。
ちなみに、他の河内三太子は「叡福寺(えいふくじ)」(大阪府太子町)と「大聖勝軍寺(だいしょうしょうぐんじ)」(八尾市)です。
聖徳皇太子磯長墓がある叡福寺へは参拝したことがあるのですが、物部氏の本拠地近くにある大聖勝軍寺の存在は初めて知りました。近くに物部守屋の墓などもあるので、ぜひ参拝したいお寺です。
午前11時から四天王寺僧侶による『聖徳太子絵伝』絵解き法話があり、時間があったので拝聴しました。
本来は絵堂で杉本健吉画伯による7枚の「聖徳太子御絵伝障壁画絵」に基づき、1時間かけて太子の生涯を話されるのですが、今回はコンパクトな複製に基づく30分程度のダイジェスト版です。それでも、愛馬・黒駒で富士山を駆ける場面や王寺町・達磨寺の飢人伝説の話もありました。
太子信仰の広がりを感じた展覧会でした。