王寺町観光協会「三輪山と周辺を訪ねる」(奈良県桜井市)
令和4年2月25日(金)、王寺町観光協会「三輪山と周辺を訪ねる」に参加しました。講師は森下惠介先生で、午前中に纏向遺跡などの見学・昼食後に講義・その後に大神神社の参拝などを行いました。
(1)拝む山・祀る山
ア 山岳信仰では、最初は山を神々が居る場所としていたが、後には山自体を神そのものと考えるようになった。例えば、伊吹山(滋賀県・岐阜県)は、雲や霧を神の息吹。
イ この山岳信仰と、山で神々から与えられた力を具現化しようとする山岳修験とは別のもの。
(2)三輪山(462m)
ア 円錐形の秀麗な山容で、神の坐す山。
イ 三輪山の西に広がる、纏向川と初瀬川(大和川)に囲まれた場所は聖なる地。
ウ したがって、この地域に古墳が作られるのは中期(5世紀)以降。
エ 古墳時代最初期の箸墓古墳やホケノ山古墳は、纏向川の北・聖なる地域の外に立地。
オ 纏向遺跡「大型建物跡」は初期大和政権の王宮とも推定。祭祀場跡から抜き取られた磐座が三輪山に移された可能性あり。
(3)修行の山
ア 吉野は「玉城(たまき)の南山」として神仙境と意識され、「金の御岳(かねのみたけ、金峯」で古人皇子(645年)や大海人皇子(671年)が出家。
イ 神仏に近づき験力を得るための修行が修験。
ウ 吉野川は仏界と俗界の境で、大峯七十五靡は山中の聖地回峰巡礼。
エ 大峰山(山上ヶ岳、1,719m)の山頂にある大峰山寺本堂の創建は8世紀。奈良県の最高峰のハ経ヶ岳(1,915m)や弥山(1,895m)には奈良時代に人が入る。
オ 12~13世紀に修験道が確立。真言系の当山派修験、天台系の本山派修験。
(4)山居(参籠)修行から回峰修行へ
ア 拝む山・祀る山から修行の山となり、山岳寺院が成立。
イ これに伴い、参籠修行から回峰修行へ。
ウ 葛城修験でも28の聖なる山に経塚。
エ 回峰修行は集団で行うので回数を重視。
オ 江戸時代からは俗人山伏を連れて行くようになり、位階や免許を授与。