桜井市観光協会「わくわくドキドキ! 古墳探訪 狛・岩坂編」(桜井市)
令和3年11月27日(土)、桜井市観光協会「わくわくドキドキ古墳探訪! 狛・岩坂編」に参加しました。一人ではたどり着けない古墳を桜井市文化財課長の橋本輝彦さんの案内で探訪できるのですから、大人気です。
私は第一回から続けて参加しており今回で六回目になりますが、企画に携わるM井さんの尽力で回を重ねるごとにマニアック度が増して行くのも魅力です。
最初に訪問するのは、粟原(おうばら)にある国史跡の円墳「花山西塚・東塚古墳」です。煉瓦状に加工した榛原石(はいばらいし、凝灰岩)を積み上げた磚槨式石槨(せんかくしきせっかく)を有する個性的な古墳です。本来ならメインなのですが、第三回に来たことがあるのでサブの扱いです。
東塚古墳は、残念ながら石室の前面が破壊されています。小さな石なので持ち去られたようです。
一方、西塚古墳は羨道や玄室が残っており、玄室の扉石も戻されています。全体を鉄格子で囲んで保護しているため、観光協会で用意いただいた梯子がないと、入ることができても出ることが困難です。
さらに北東に登って尾根に出ると、古墳の痕跡が残っています。
元の道に戻り、いよいよ狛峠を越えて岩坂式シ山古墳をめざします。
かつては通学路としても使われていたそうですが、今は利用する人もなくススキなどで覆われています。今回の古墳探訪のために、観光協会の事務局長さんや区長さんなどが自走式草刈機を使って通れるようにされました。ありがたいことです。
岩坂には古墳が点在しており、円墳「式シ山古墳」の玄室長は4.1m・玄室幅1.7mで、土砂が流入していますが羨道から入ることができます。
十二神社で昼食時間を過ごした後、本日のメインとも言うべき粟原森貝古墳群に向かいます。南西の急斜面に築かれており、下(南)からのアクセスは困難です。橋本課長も三十年近く前に来られて以来だそうです。
最初に、比較的わかりやすい場所にある2号墳に行きます。石室は埋まっていて入ることができません。墳丘の後ろには掘割が続いており、他にも古墳があったことが想像できます。
次の3号墳は、一つの墳丘に二つの石室がある双室墳ですが、石室はほとんど土砂で埋まっており、西石室の中が覗ける程度です。
また、石室入口の反対側の斜面には葺石らしき小石も見えます。
最後は、民家の塀の下に玄室の奥だけが残る狛大石古墳です。わざわざ一部だけでも壊さずに保存するところに、住む人の古墳に対する畏敬の念が感じられました。
橋本課長が言われるように、“石室だけを見るのではなく、(1)地形を見る、(2)周囲を見る” ことを心掛けて探訪した結果、桜井市の古墳の奥深さを体感できた一日でした。