近畿文化会「春日大社と社家住宅『藤間家』」(奈良市)
令和4年7月3日(日)、近畿文化会「春日大社と社家住宅『藤間家』」に参加しました。講師は、春日大社権禰宜の中野和正氏です。
(1)講演
最初に、感謝・共生の館で講演を聴きます。
◎春日大社
○ 春日大社は平城京の東に位置し都城を守護。
○ 本殿と若宮を結ぶ御間(おあい)道には、御蓋山を源とする率(いさ)川の水を貯める木製「水船」があった。
○率川神社は、飛鳥時代に推古天皇が創建した奈良市内最古の神社。
かつては春日大社の摂社だったが、明治20~30年代に大神神社が摂社にした。← 本殿が春日造なので不審に思っていたのですが、本来は春日大社の摂社だったと知り納得しました。
◎ 社家住宅
○ 神職を務める社家は北郷(野田村)と南郷(高畑村)の二箇所に分かれていたが、今に残るのは南郷のみ。
○ 藤間(とうま)家住宅には、①薬医門と築地塀・②式台玄関を持つ主屋・③小祠と高野槙の神木を備えた前庭などが残る。
◎ 春日大社と長谷寺
春日大社と長谷寺は縁が深い。
○ 奈良市の神仏と長谷寺(桜井市)を結ぶ隔夜修行が行われており、春日大社南門近くには「奉再興 隔夜修行」と書かれた燈籠が残る。「再興」とは、油代を払えなくなった人に代わって奉納する意味。
○長谷寺「紀貫之『故里の梅』」は、かつて長谷寺から春日大社に送られた梅の子孫。
(2) 参拝「御本殿・若宮」
昼食後、国宝館「いきもののデザイン」を見た後、御本殿と若宮に参拝します。
御本殿の回廊は、中門の前から見える部分は茅葺きですが、見えない外側は瓦葺きだそうです。
若宮では、現在、御造替が行われており、本遷宮は10月28日の予定です。
(3) 隔夜寺
上の禰宜道を通って隔夜寺に向かいます。
かつて、春日大社境内にはたくさんの寺がありましたが、今に残るのは隔夜寺だけです。
【12隔夜寺】
ご本尊は長谷寺の1/10の大きさの十一面観音菩薩立像で、口から6体の阿弥陀像を発する空也上人像も祀られています。
普段は非公開ですが、中田住職(近くの華厳宗・新薬師寺の副住職が兼務)に来ていただき、特別に拝見できました。
(4) 藤間家住宅
隔夜寺から旧柳生街道を西に下れば、藤岡家住宅です。道沿いに残る土塀からは、かつて社家町であったことが偲ばれます。
藤間家住宅は、18世紀の古式を留めた歴史的建造物で、今、復元に向けた工事が進められています。
春日大社と言えば、どうしても御本殿や若宮に目が行きがちですが、それだけでなく幅広い魅力があることを知りました。