近畿文化会「幻の宮斎宮をめぐる」(三重県明和町)

 令和4年9月17日(土)、近畿文化会「幻の宮斎宮をめぐる(三重県明和町)」に参加しました。講師は、県立斎宮歴史博物館の榎村寛之先生です。


 古代から中世、未婚の皇女が斎王となり、天皇に代わって伊勢神宮に奉仕する「斎王」(さいおう)の制度がありました。


 「斎宮」(さいくう)とは、斎王が暮らした宮殿や官衙(役所)があった宮のことです。


 昭和54年に国史跡に指定されており、その広さは東西2㎞・南北700m・面積137haに及びます。


 発掘調査の結果、西側に飛鳥~奈良時代の斎宮、東側に平安時代の斎宮があったことが判明しました。


 東側は「さいくう平安の杜」として整備され、平安時代の建物が復元されています。

 


 平安の杜の南側で竹神社を囲む大型の柵列が発見されたことから、ここに斎王が住む内院があったと推定されています。


 境内には水が湧く池があり、御殿の池泉だった可能性があります。


 午後は、伝承地二箇所を訪れます。
 最初は、「業平松」です。
 在原業平を主人公とした『伊勢物語』の第69段「狩の使」は、業平と斎王・恬子(やすこ)内親王の秘密の恋を述べています。そして、別れの場面の第71段では、斎王が隣国へ行く業平を恨んで「大淀の松・・・」と詠みます
 その場所がここだとの伝承があり、三代目の業平松が植えられています。


 大淀には砂浜が広がり、斎王は9月の神嘗祭の禊をこの地で行いました。


 最後は平安時代の「隆子王女の墓」です。斎宮で逝去した斎王は二人だけで、その一人です。墓に治定されたのは明治に入ってからで、本当の墓かどうかは定かではありません。


 斎宮を訪問したのは4回目ですが、もっと斎王伝承地を訪ねたいと思いました。

2022年09月17日|歴史:古代