奈良国立博物館「聖徳太子と法隆寺」

 令和3年5月1日(土)午前、奈良国立博物館で開催されている特別展「聖徳太子と法隆寺」を観覧しました。聖徳太子が亡くなられてから1,400年目に当たることを記念してのもので、4~6月に奈良博で開催された後、7~9月に東博に会場を移して開催されます。

 

 混雑を予測して事前予約優先制が採用されていますが、予想以上に空いています。午前9時30分の開館時刻に合わせて行ったのですが、ほとんど待たずに入館できました。内部も空いていて、ゆっくりと観覧できます。大阪府や兵庫県などに新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が出されていることが影響しているのでしょうが、やはり関西人にとって法隆寺は修学旅行で行くお寺なので、博物館で観覧すると言うメージが薄いことも影響していると思います。

 

 さすがに、釈迦三尊像・救世観音像・百済観音像は出陳されませんが、それでも国宝が目白押しです。チラシの表紙は「聖徳太子坐像」と「薬師如来坐像」ですから、このニ体が目玉なのでしょう。
 聖徳太子坐像(平安時代、木造)は、聖霊院のご本尊で、3月22日のお会式(ご命日法要)など特別の日にだけ公開される秘仏です。厨子を出ておられるので、背面まで見ることができます。威厳があり、かつ優しいお顔です。胎内に観音菩薩像を収めておられることを初めて知りました。

 
 薬師如来坐像(飛鳥時代、金銅鍍金)は、普段は金堂「東の間」に本尊として鎮座しておられます。口元の微笑みなど「中の間」の本尊の釈迦三尊像と似ていますが、鋳造技術に進歩が見られることから、こちらの方が新しいそうです。明るい照明の下でじっくりと拝見すると、ずいぶんと優しいお顔でした。台座も合わせて出陳されており、構造がよく分かりました。

 

 最近は「伝聖徳太子像」とされているようですが、私が中学生の頃の教科書には「太子を描いた最古の肖像画」として掲載されていた聖徳太子二王子像は、4月27日~5月16日限定で宮内庁蔵の原本が展示されていす。明治初期、法隆寺から皇室にたくさんの宝物が献納され、その大半は東博の法隆寺宝物館に収められていますが、この肖像画は宮内庁蔵です。

 

 五重塔初層には塔本坐像が置かれていますが、普段は網越しでしか見ることができません。今回はじっくりと拝見することができ、特に北面の羅漢坐像が釈尊の入滅を嘆く表現が真に迫っているのには驚きました。

 

 また、金堂の四方を守る四天王像は現存する日本最古の四天王像で、奥におられるので普段は見にくい西の広目天像・北の多聞天像を拝見できたのは、予想外の喜びでした。

 


 この他、夢違(ゆめちがい)観音として知られて観音菩薩立像(飛鳥時代、銅像)、玉虫厨子などの名品が目白押しですが、これらは法隆寺「大宝蔵殿」でいつでも見ることができるので、軽く流しました。東博会場では、人気を集めることでしょう。

 

 

 充実した内容の素晴らしい展覧会でした。

 ただ、スペースの問題もあるのでしょうが、不満を感じた点もあります。。
(1) 薬師如来坐像と台座が合わせて出陳されているので構造が分かりやすいが、両者が並んでいない
(2) 薬師如来坐像の光背銘文が読めるのは良いが、そのまま回り込むのでなく少し移動する必要がある。

(3)広目天像と多聞天像の二体が離れて展示されているので、一目で鑑賞できない
(4)ガラス原板から復元された金堂壁画の写真が展示されているが、薬師如来坐像や広目天像・多聞天像との位置関係が明確でない
 
 展示スペースが広く、かつ展示方法が洗練されている東博では、私が不満に感じた点などが解消されることでしょう。場合によっては、上京して東博でも観覧したいと思います。

2021年05月01日