京都国立博物館「京(みやこ)の国宝」

 令和3年8月5日(木)午前、京都国立博物館「京(みやこ)の国宝」を観覧しました。
 この特別展は、京都ゆかりの国宝や皇室の至宝を展示することにより、文化財が持つ魅力や価値を紹介するものです。
 平日の開館直後だったからかもしれませんが、人が少なくて、ゆっくりと観覧できました。


 展示は、「(1)京都ー 文化財の都市」「(2)京の国宝」「(3)皇室の至宝」「(4)今日の文化財保護」に分かれています。
 私は、京都より奈良が好きなので、特に「(3)皇室の至宝」に魅力を感じました。明治維新による混乱の中、法隆寺や東大寺などの古社寺は、伝来の品々を皇室に献納することにより存続を図りました。その至宝が展示されているのです。
 春日権現験記絵は、鎌倉時代に藤原氏の氏神である春日社に奉納されたものです。20巻全てが揃っていて、京都の公家文化の高まりを鮮やかに示しているそうです。
 宮内庁三の丸尚蔵館に収蔵されているため国宝に指定されていませんでしたが、方針変更に伴い、7月16日に文化審議会が国宝指定を答申しました。


 (1)京都ー文化財の都市では、藤原道長自筆の御堂関白記が目玉です。美術工芸品として国宝に指定されていますが、平安時代の歴史や文化を研究するうえでも欠かせない史料です。
 最高権力者の道長が、丁寧な字で膨大な記録を残していたことに驚きました。


 (2)京の国宝では、四面六臂の梵天(ぼんてん、教王護国寺)と、琵琶を抱えた摩睺羅(まごら、妙法院)に興味を持ちました。いずれも、千手観音の眷属である二十八部衆の一人です。

 

 

 展示されている仏像は七点と少ないのですが、他にも、ずらりと並んだ五智如来(安祥寺)、間近で拝観できる雲中供養菩薩(平等院)など充実した内容でした。

 

 絵画では、長谷川等伯が描いた巨大な松に秋風図屏風(智積院)が圧巻で、離れた位置からゆっくりと観覧できました。


 (2)京の国宝なのに、なぜか奈良・金峯神社所蔵の金銅藤原道長経筒も展示され、単眼鏡を使うとはっきりと「道長」の字が見えました。

 

 (4)今日の文化財保護では、戦後に最初の国宝指定を受けたが一時行方不明になり、近年出現した日本刀が展示されており、文化財保護には、調査・把握・管理が重要なことを示しています。

 


 また、法隆寺金堂壁画摸本(桜井香雲)も拝見することができました。

 

 観覧を終えて会場の平成知新館を出ると灼熱の暑さで、噴水越しに見る明治古都館が涼しげでした。

 

 


2021年08月05日|歴史:中世, 古代, 近世・近代