東近江市観光協会「竜王にいます聖徳太子御製の秘佛特別参拝」(滋賀県竜王町)
令和5年3月26日(日)、東近江市観光協会「竜王にいます聖徳太子御製の秘佛特別参拝」に参加しました。
講師は、昨年、『近江の聖徳太子』(海青社)を出された大沼芳幸先生です。
大沼先生の著書によると、聖徳太子の縁起を伝える寺院数のポイントを計算すると、滋賀県は185ポイントと奈良県の97ポイントの1.9倍もあります。
もちろん、これは滋賀県に太子創建の寺院や製作の仏像を有する寺院が多いと言うことではなく、「縁起・伝説の世界」の話です。
その理由について、大沼先生は次の仮説を提示されます。
(1)聖徳太子は慧思(えし)の生まれ変わりで、慧思の弟子・智顕から教えを受けた最澄が天台宗を創始。→近江の天台系寺院が寺格を上げるために聖徳太子を利用。
(2)聖徳太子は観音菩薩と同体。→聖徳太子の作とされる仏像は観音像が多い。
このツアーのメインは、竜王観音禅寺の伝・太子作の「十一面観音菩薩立像」です。大開帳は60年ごと・30年目の中開帳が2030年なのですが、1400年御遠忌を記念して一か月余り特別大開帳されました。この日は最終日で閉扉法要が行われ、たくさんの人で賑わっていました。
吉祥寺(きっしょうじ)は、かつては天台宗の「淨慶寺」でしたが、江戸時代後期に浄土宗に転宗した際に現在の寺号に改めました。本尊は重文「阿弥陀如来坐像」です。観音堂には伝・太子作の「十一面観音菩薩立像」がおられ、今年が30年目の大開帳に当たります。
弓削(ゆげ)阿弥陀寺には住職がおられず、8人の「長老」が守っておられます。本尊は阿弥陀如来でなく伝・太子作の「釈迦如来坐像」で、太子創建の法満寺(ほうまんじ)の別院・弓削寺伝来と伝えられています。
駕輿丁(かよちょう)地蔵堂に安置されているのは、伝・太子作の「地蔵菩薩立像」で、安産祈願の信仰を集めています。開帳されるのは年2回ですが、12人の役員の方が交代で毎日お参りされています。地蔵菩薩は福田寺(ふくでんじ)伝来とされ、同寺の本尊だった阿弥陀如来坐像も安置されています。
須恵善通寺観音堂は、須恵八幡神社の一角にあり、神仏習合の面影を残しています。伝・太子作の「千手観音立像」は、太子創建の雲冠寺(うんかんじ)伝来とされています。
美術品としての仏像鑑賞でなく、地元の人々が仏像に寄せる思いを体感できた一日でした。