鶴林寺(加古川市)

 令和3年6月8日(火)、加古川市の刀田山 鶴林寺(とたさん かくりんじ)へ行きました。6月2日(水)に行ったばかりですが、その時には咲き始めだった菩提樹の花が満開だと聞いたからです。
 お寺のリーフレットは《聖徳太子御創立》と明記し、(1)「刀田山四天王寺聖霊院」と名付けられたのが寺の始まりで、(2)1112(天永3)年に鳥羽天皇から「鶴林寺」の勅額を与えられて寺号を改めた、と説明しています。しかし、安時代前期を遡って寺の存在を裏付ける資料はなく、江戸時代に書かれた『鶴林寺縁起』は後世の太子信仰に基づいたものであると考えられています。 


 現在は天台宗に属しており、国宝「本堂」には本尊の秘仏「薬師三尊像」がおられます。
 本堂の向かって左に菩提樹が、右に沙羅双樹が植えられています。

 

 

 菩提樹は、釈尊がその下で悟りを開いたと伝えられる落葉高木です。本来はインド産ですが日本では育たないため、古来、中国産の木が植えられています。6月に淡黄色の小花を下向きに付けます。先週は咲き始めでしたが、一気に開花していました。

 

 

 本堂の横には国宝「太子堂」(赤外線で発見された壁画で有名)があり、その近くに植えられている大きな菩提樹も満開です。

 

 また、沙羅双樹も咲き始めています。本来は釈尊が涅槃に入った臥床の四方に二本ずつ(双樹)あったと伝えられるインド原産の常緑高木のことです。しかし、日本にはなかったために、落葉高木の夏椿を沙羅双樹と呼んでおり、6月頃に花を付けるのですが、平開せずすぐに散ってしまいます。
 『平家物語』の冒頭で《沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。》と書かれている沙羅双樹も夏椿のことです。先週は蕾でしたが、ちらほら開花していました。

 


 自由な身なので盛りの花を見ることができ、その幸せを実感した一日でした。

2021年06月08日|歴史:中世, 古代, 近世・近代|兵庫県:播磨