龍田古道「亀の瀬」(大阪府柏原市)

 令和3年10月9日(土)、奈良県のJR三郷駅から大阪府のJR河内堅上駅まで、大和川沿いの龍田古道を歩きました。逆方向では歩いたことがあるのですが、今回は「亀の瀬」に絞っての訪問です。

 

 亀の瀬は、古代から河内国と大和国を隔てる天然の関所でした。河内から上ってきた剣先船(けんさきぶね)は、ここで積荷を一回り小さい魚簗船(やなぶね)に積み替えて大和に向かいます。
 荷継ぎ場跡に残る「龍王社」には、剣先船仲間が寄進した石燈籠が立っています。

 

 川の右岸には、地名の由来となった「亀岩」があります。


 亀の瀬は地すべりが頻発した場所で、大規模な地すべり対策工事が進められています。


 地すべりを止める対策の一つに、水を抜くことがあります。
 通常は非公開ですが、ある僥倖に恵まれて「排水トンネル」に入ることができました。見上げると大きな「集水ポーリング工」があり、水滴が落ちてきます。

 

 

 1932~1933(大正7~8)年の地すべりで旧大阪鉄道(JR大和路線)の亀瀬隧道(トンネル)が埋められてしまい、急遽、大和川の上に第三・第四橋梁が架けられました。

 

 隧道は全壊したと思われていたのですが、2008(平成20)年、排水トンネル工事の掘削推進中に隧道の一部が発見されました。ここも通常は非公開ですが、排水トンネルに続いて見学することができました。
 工夫された照明で幻想的な雰囲気がします。突き当たりには崩落現場が残されており、地すべりの激しさを感じます。

 

 

 

 亀瀬隧道跡に入ることは念願の一つでしたが、この日に実現するとは予想しておらず、人との縁に感謝した一日でした。

2021年10月09日|歴史:古代, 近世・近代