金峯山寺二王門「保存修理工事現場見学会」(奈良県吉野町)
令和4年4月24日(日)、金峯山寺二王門「保存修理工事現場見学会」(吉野町)に参加しました。
国宝「二王門」は北に向いている三間一戸二重門で、棟高20.23mです。
建立年は風鐸銘の年号により康正2(1456)年)とされていますが、安置されている重文「金剛力士像」の胎内に延元3・4(1338・1339)年と墨書されていることから、この時期まで遡る可能性があります。
昭和25(1950)年に解体修理されましたが、基礎の不同沈下・柱の虫害など破損が認められることから、令和2~10(2020~2028)年に解体修理が行われることとなりました。
現在、建物を全体を覆う素屋根が完成しています。
最初に、素屋根の3階部分に上がります。
見上げれば、入母屋造の大棟が見えます。
また、北には参道が見下ろせます。
「金峯山寺」と書いた扁額が見えることから、初重と二重の間にいることが分かります。
二重に敷かれた瓦は随分と痛んでいます。
さらに、葺土が耐用年数を過ぎて、屋根全体で瓦が弛緩しています。
二階に下りて初重を見学します。
垂木(たるき)や、それを支える巻斗(まきと)など組物が痛んでいることが確認できます。
一階に下りて、北東の柱の礎石を見ます。壊れた礎石を補強するために東西方向に礎石が追加されていますが、それでも東に沈下しています。解体後の状況によっては、礎石全体を交換することも想定されるそうです。
寄木造りの重文「金剛力士像」は、二王門から運び出されて解体修理後、奈良博「なら仏像館」に安置されています。
お寺の方によると、運び出すに際しては、“重文の仏像を運び出すために、国宝の二王門を壊すことは認められない”とのことで、柵を構成する縦の木は外せたのですが横木を外すことができず、苦労されたとのことです。
解体修理工事が完了する令和10(2028)年に開催されるであろう修理工事完成見学会が今から楽しみです。